スーパーGT第5戦鈴鹿の予選はホンダ/HRCのプレリュードGT 勢がトップ4を独占してホームコースでの速さを見せたが、その中でも4番手となった16号車ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTは悔しさの残る内容となった。予選Q2を担当した佐藤蓮に聞くとともに、今季の予選でひさびさに上位グリッドを獲得した面々、そして予想外のトラブルに直面してしまったドライバーたちに予選を振り返る。

⚫︎佐藤蓮「進入速度を上げて行ったら、ストール領域に入ってしまった」4番手/16号車ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT

 予選Q2の最後のアタックでセクター2を通過した時点で全体ベストタイムをマークしていた16号車ARTAの佐藤蓮。セクター3のスプーンひとつ目を過ぎたところで、マシンがホワイトライン、そして縁石を超えて膨らんでしまい送路外走行、いわゆる四輪脱輪でタイムが抹消となってしまった。

「残念です。(スプーンひとつ目の)進入速度がちょっと速かったということです」と、予選直後に話す佐藤。

「午前中からクルマの調子が良かったですし、Q1からQ2に向けて野尻(智紀)選手にフィードバックをもらってQ2に向けて自分に合わせたセットアップをしてくれたんですけど……スプーンまで、かなりいいセクタータイムで来ていたのですけど、進入速度を上げて行ったら、ストール領域(空力が急激に不安定になる状況)に入ってしまって、かなりアンダーステアを出してしまったので、それが原因ですね。普通に行けば全然、ポールを狙えるペースだったので本当に悔しいです」

 四輪脱輪したことをすぐに察した佐藤は、すぐにアタックを諦めてペースを落としてタイヤのグリップを確保した。その時点で3番手のタイムというのにも驚くが、そのまま次のラップで連続アタックに入り、タイヤのピークグリップを過ぎた状態でも4番手のタイムを再び刻んだ。

「全然、タイヤのグリップはもう落ちていたので、それなりにしか走れなかったですね」と佐藤。それでも4番手タイムは、クルマの好調さを感じるだけに、決勝への期待は高まる。

「ポテンシャルがあったので悔しいですけど、プレリュードとしても調子がいいですし、力はあると思うので明日はまた追い上げを頑張りたいと思います」

他のプレリュード勢と比べて「二桁に行かないくらい」(HRC長谷川彰大テクニカルディレクター)速い速度でスプーンに進入していた佐藤蓮。それだけ自信のあるクルマの仕上がりだった

⚫︎阪口晴南「タイムを見るまでは不安でした」6番手/19号車WedsSport BANDOH GR Supra

 他のGRスープラ勢のサクセスウエイトが重い状態だったとはいえ、トヨタ/GR勢でトップの6番手を確保したのがGT500で唯一のヨコハマタイヤを装着する19号車WedsSport BANDOH GR Supraだ。今季初めて予選Q1を突破し、6番手の上位グリッドを確保した。予選Q1を6番手で突破した阪口晴南に予選直後に聞いた。

「本当にホッとしていますね。今シーズン1回もQ1を通れていなかったので。今回は課題として目標に掲げていたので、Q1を突破できて良かったです」と阪口。

「フリー走行から通れるかなという雰囲気はあったのですけど、やっぱり、これはみんな一緒ですけど、午前のセッションが赤旗続きで路面も午後は予測できなかったところもあるので、正直、タイムを見るまでは不安でした。だけど、ちゃんと通れてよかったです。国本(雄資)さんのQ2のアタックでもQ1の後にアジャストして、それもまあまあいいところが出たと思うのですけど、納得の行く調整だったと思います」と予選を振り返った。

 肝心の決勝に向けては、予選以上に可能性を感じているようだ。

「正直、ロングの方はなかなか鈴鹿で実践できているわけではなくて、鈴鹿を走るのは今年初なんですけど、今年のレースを振り返ると予選日よりは決勝の方がまだ可能性を感じる展開が多かったので、そこはちょっと自信を持っていいのかなとは思っています。この6番手の順位から着実に追い上げられるようなレースがができたらいいかなと思います」

GT500で唯一ヨコハマタイヤを装着するWedsSport BANDOH GR Supra。阪口晴南が今季初めてQ1を突破した

⚫︎三宅淳詞「原点に戻るような感じでやったら良くなった」7番手/24号車リアライズコーポレーション Z

 昨年までのヨコハマタイヤから、今季はブリヂストンに換装した24号車リアライズ。しかし、前回の第4戦富士では軽いサクセスウエイトながら、予選Q1では14番手の最下位とここ3戦、苦しい戦いが続いていた。その状況の中、予選Q1では三宅淳詞が目の覚めるような2番手タイムをマークして、Nissan Z最上位タイムをマークした。

「今季は僕たち岡山、富士、富士でやっぱり予選のパフォーマンスが全然出せていなくて、正直今年結構新しいこととかもチャレンジをしていたのですけど、なかなかそれがうまくいかなかったので、どちらかというと去年ベースというか、原点に戻るような感じでやったら、やっぱりフィーリングも良いという流れになりました」

 去年ベースというのは昨年の3号車の島田次郎監督、そして三宅淳詞のコンビが今季、島田氏はエンジニアとして、24号車にスライド移籍したことの表現となる。つまり今回、昨年のブリヂストンでのセットアップの方向に戻したところ、潮目が変わったようだ。

「アタック自体も満足できるアタックでした。マシンバランスに対して改善したいというのはどのドライバーもあると思いますけど、その中ではミスなく決めることはできたのかなと思います」

 三宅にとっては、明日の決勝というよりも今季の後半戦に向けて、重要な1日になるという。

「フリー走行の時から直したい部分があったのですけど、僕の予選でもなかなか直らなかった。ここをもっとこうしたらフィーリングが良くなるのになというところが直せなかったので、決勝でも大事ですけど、次のSUGOなんかは特に予選が大事なサーキットなので、SUGOでもしっかりと自分たちでクルマの状況を把握しながら戦わないといけないと思っています。今回、たまたま速かったとかになっちゃうとダメなので、もっと自分たちでクルマやセットアップ、タイヤを理解して、明日のレースも戦っていければいいなと思ってます」

予選7番手を獲得したリアライズコーポレーション Z。決勝では台風の目となりそうな存在だ

⚫︎牧野任祐「絶対に火が出ると思って急いでクルマから出た」14番手/100号車STANLEY HRC PRELUDE-GT

 前戦の第4戦富士で見事、プレリュードGTの初勝利を飾った100号車STANLEY。いい流れの中で迎えたと思われた第5戦鈴鹿では、フリー走行の走り出しでまさかの事態に巻き込まれた。エンジントラブルで白煙が上がり、マシンはスプーンカーブ手前でストップ。ステアリングを握っていた牧野任祐は慌てて車外に避難することとなってしまった。

「普通にタイヤのウォームアップをしていて、ヘアピンを立ち上がったところでいきなり(トラブルが)バーンと来ました。予兆とかは全然なかったですね。煙も出てきてびっくりしました。これは絶対に火が出ると思って急いでクルマから出たんですけど、結局火は出なかったので、燃えなくて本当によかったです」

 その後、100号車はエンジン交換を強いられ、なんとか予選に間に合わせて予選Q1に向かった牧野。しかし、クルマはほぼシェイクダウン状態で予選最下位の14番手となってしまった。

「ほぼ初めて走り出したって感じだったので、バランス的にも結構アンダーステアな雰囲気でした。でもまあ、今日予選で走れていなかったら、その状態もわからないまま決勝日の30分間のウォームアップで初めてそれに気づいたと思うので、とりあえずエンジンを乗せ替えてもらって予選を走れたことは良かったですね。決勝はペナルティがあるので(エンジン交換で5秒ストップペナルティ)、レースはSC(セーフティカー)が入ってくれるか入ってくれないかで全てが変わるので、とりあえず自分たちにやれることをやっておこうという感じですね」

STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)
マシントラブルでコース脇にマシンを停めたSTANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)。ドライバーの牧野任祐も積載車に乗り込んでパドックへ戻った。
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