決勝後のミックスゾーンで首をひねるその様は、前戦富士で見せた姿とも重なった。
土曜の予選日は、FP1で見られた問題には対処できたものの「そこに引っ張られすぎて、詰めきれなかった部分が結構あった」と牧野。「良かったときのフィーリングが何もない」なかで、雨で状況が変わることに期待して決勝日を迎えたが、「結果的には雨の方が厳しかったというのが、正直なところ」と、レースを終えてもトンネルの出口は見えなかったようだ。
「雨に向けてもいろいろと(セットアップは)やって、最初のフィーリングはそんなに悪くないかもと思ったのですが、周囲のクルマと比べてもフロントの摩耗がかなり早かったです」
レース中盤に導入された2度目(スタート時を含めると3度目)のセーフティカーの頃にはタイヤの状態がかなりきつく、ハイポイントコーナーや最終コーナーでスピードに乗せることができなくなっており、「バトルをする上でもかなり厳しい状態になっていて、防戦一方で何もできなかった」。左フロントタイヤはブロックがすべてなくなるような状態だったという。
牧野は第4戦もてぎを最後に表彰台から遠ざかっており、このままではタイトル戦線に生き残ることも難しくなってしまう状況となった。太田が一定の手応えを感じているのとは、極めて対照的である。
「正直、何が起きているのか分からなくて、その原因を突き止めるためにエンジニアと頑張ってやっているのですが、今回もその答えは見つからなかった。より一層深い闇に入っていっているんですけど……結構キツいっすね」
牧野によれば、悩みの中心は「タイヤを使えないというか、全然荷重をかけられない」こと。「(第5戦の)オートポリスから、若干怪しかったのですが……良かったときがあるだけに、余計分からないですね」と困惑を隠さない。ランキング首位との点差を考えると、太田とは異なる意味合いながら、同じく次の富士ラウンドがひとつの正念場となりそうだ。

