──あなたの現役時代の数々のマシンと比べて、ハイパーカーはまったくの別ものですが、あなたはそれをどう見ていますか?

JI:ハイパーカークラスを見ていると、挑戦を恐れていないことを示していると感じている。つまり、厳格なレギュレーションの下、どのメーカーも切磋琢磨し、試行錯誤しながら最高レベルへ持っていくために尽力している。そこへ到達するための策はたくさんあるが、見つけるのは容易ではない。だからこそ、挑戦したくなるのではないだろうか。

ル・マン通算6勝のレジェンド、ジャッキー・イクスがWECの最新ハイパーカー『ジェネシスGMR-001』を初ドライブ
ポール・リカール・サーキットで『ジェネシスGMR001ハイパーカー』をドライブしたジャッキー・イクス

──ジェネシスに続き、マクラーレンとフォードも来年ハイパーカークラスへ参戦予定です。しかし、その一方でポルシェはWECから昨年末をもって撤退しており、アルピーヌも今季を最後に撤退予定で、ランボルギーニは休止状態が続いています。ハイパーカーの世界で生き残るために不可欠な要素は何だと思われますか?

JI:長い歴史の中で覚えておくべきことは、ル・マン24時間レースとという存在がすでに奇跡であるということだ。100年以上前から続く奇跡だ。開始した当時は、誰が100年後もこの大会が続いているなんて思っただろう。

 私がル・マンに参戦し始めた頃はフォード対フェラーリ、そしてフェラーリ対ポルシェ、ポルシェ対フォード……その頃はせいぜい2~3のメーカーの戦いだったし、時には少し増えていたが、せいぜい4つのメーカーの争いだった。

 ここ10年ほどの間、LMP1の終焉を目の当たりにして『時代は変わった』という事実と現実が突き付けられ『耐久レースは生き残れないだろう』などと言われていたし、誰もがそんな予感を抱えていたのではないだろうか。長いル・マンの歴史を見ても、誰かが参入し、誰かが去る、その繰り返しだ。

 しかし、それは大きな嬉しい誤算でもあった。ハイパーカーの最初期こそはごく少数メーカーで始まったものの、いまでは9や10ものブランドが参戦している。これまで、ル・マンのトップカテゴリーがそんな賑わいを見せたことはなかっただろう。

 2メーカーが撤退し、新たに2メーカーが参入する。それでも残った8つのコンストラクターが常に高いレベルの競争を繰り広げているというのは、非常に珍しいことであり、現状を喜ぶべきなのかもしれない。

ジェネシスGMR-001
ジェネシスが発表した2026年のル・マン24時間レースで採用する、オレンジ色のマシンカラーリング

──あなたとはとても近しい友人でもあるアンドレ・ロッテラーはこのジェネシスのハイパーカーのプロジェクトのエースドライバーを担っていますが、彼の起用にはあなたが関与されているのでしょうか?

JI:アンドレはアウディやポルシェで豊富な経験を持っているだけではなく、数々の勝利を収めていることが、アビテブールによって選ばれた理由だった。

 事前に彼からアンドレの起用を打診された際には、ジェネシスへの参加はプロジェクトにとってすべて有益だろうと私はコメントし、支持した。実際にアンドレは豊富な経験を持っているだけではなく、チームを築き上げる能力も兼ね備えており、チームの結束を高める役割も持ち、チームに素晴らしく貢献しているよ。

──ジェネシスのハイパーカープロジェクトは始まったばかりですが、今後の目標は?

JI:まだWECの2戦が終わったばかりで、これから初めてのル・マンを経験する。我々は本当の新参者だ。謙虚さを持ちながら、一歩ずつ目標へ向かうという考え方を受け入れなければならない。私はジェネシスとともに1ラップごとにあらゆることを吸収し、向上していくプロセスの中にいて、新たな発見の連続だよ。

 いまのところすべては順調に進んでいると断言できる。目標は戦闘力を高めること。今後のチームの成長をぜひ見守って欲しい。ヒョンデ・モータースポーツはWRC世界ラリー選手権で頂点を飾った。次に選んだ大きな挑戦はこのハイパーカーで、ここで勝つことがどれだけ困難なことかは誰もが知っている。輝かしい歴史を持つフェラーリをはじめ、数多くの強豪たちと競わなければならない。

 しかし、それこそがこのWECやル・マンの楽しいところだ。ジェネシスは韓国メーカーとして初めてル・マンへ参戦し、新たな歴史を作り出す。

ジャッキー・イクス
2026年のWECでジェネシス・マグマ・レーシングのレーシングアドバイザーを務めるジャッキー・イクス

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