10番グリッドから上位入賞を目指したが2スティントともラップタイムが伸びずシーズン最終戦を16位で終える

<気象データ>
気温:20℃、路面温度:22℃(決勝レース前)

 4月に岡山国際サーキットで開幕したAUTOBACS SUPER GT 2025 SERIESが、栃木県のモビリティリゾートもてぎで最終戦を迎えた。今季は6年ぶりに海外大会がマレーシアで開催され、変化に富んだシーズンとなった。

 LMcorsaは今シーズンからニューマシンとなるLC500 GTを使用し、第5戦のスポーツランドSUGOで4年ぶりの優勝を果たした。だが多くのレースで苦戦を強いられ、7戦を終えたところでドライバーズランキングは19位と満足できる結果とはなっていない。

 最終戦の舞台となるモビリティリゾートもてぎは、ストレートとコーナーを組み合わせた“ストップ&ゴー”が多いレイアウトで、GR Supra GTの頃から得意とは言えないサーキットだった。それでも、11月1日(土)に行われた予選では、河野駿佑選手がQ1を8番手で突破すると、吉本選手が担当した予選Q2ではさらにタイムアップを果たして11位となった。

 決勝日となった2日(日)の午前中は日差しが照り付けるときもあったが、多くの時間は雲に覆われていて観戦に適した秋晴れとはならなかった。それでも2025年シーズンの最終戦を見届けようと3万2000人のスーパーGTファンが集結。コースでは9時すぎからピットウォークが始まり、その後はGT500クラスの新型車両によるデモランや航空自衛隊の戦闘機による歓迎フライトと、最終戦らしい盛りだくさんのコンテンツが詰め込まれていた。

 11時30分からはウォームアップ走行がスタートし、まずは吉本選手がLC500 GTに乗り込んで5周を走行。続けて河野選手が5周をしたところでチェッカーが振られた。ベストタイムは1分49秒612でGT300クラスの28台中10番手となり、決勝レースに向けて準備は整った。

 300kmの決勝レースは、13時00分に栃木県警のパトカーによるパレードランで幕を切った。1台のマシンがペナルティにより降格したため10番グリッドからスタートした吉本選手は、オープニングラップで9番手を走る7号車のFERRARI 296 GT3をパス。3周目には自己ベストタイムの1分49秒970をマークして先行するマシンを追った。

 だが5周目になるとライバル勢のペースが勝っていき7号車に抜き返されると、6周目には立て続けて3台にパスされてしまう。13番手に後退した吉本選手はポジションをキープするものの、先行車のラップタイムに比べると1周で0.5~1秒ほど遅く苦しい展開となる。

 19周を過ぎると義務となっているドライバー後退のためにピットに戻るマシンが出始める。LC500 GTに履いたタイヤは序盤に比べるとグリップダウンが激しいために、早くピットに戻ってタイヤを替えたいところだ。だが、2スティント目も同じタイプを使用するため、早めにタイヤを交換してしまうと2回のピットストップを要することも考えられた。そのため、ペースは落ちていたが24周目までピットインのタイミングを引っ張った。ピットに戻ると給油と4本のタイヤ交換、そしてドライバーを河野選手に交替した。

 吉本選手のスティントでは13番手付近を走行していたが、河野選手がコースに戻ると20番手まで後退していた。まだピットストップを実施していないマシンもいたため暫定的な順位だが、それでも15位まで付与されるポイント圏内に入れるかどうかの瀬戸際だった。河野選手はコースインして3周を走行した27周目に自己ベストタイムの1分49秒754をマークし、ライバル勢と遜色ない速さを見せる。

 しかし、30周を超えるとラップタイムが伸びず、前半のスティントと同じような状況となる。39周目には全車がピット作業を終え、この時点で17番手を走行していた。終盤は路面温度が下がったことが影響したのか、タイヤの表面にゴミが付着して剥がれない“ピックアップ”に悩まされる。

 それでも47周目には31号車のLC500h GTをパスして16番手に、51周目にも後退してきた1台を抜き15番手とポイント圏内に入った。だが、54周目には後方から追い上げてきた0号車のLamborghiniにパスされて16番手に後退。河野選手は最後までペースを上げることができず、58周目に16位でチェッカーを受けた。

 2025年シーズンの最終戦は10番手から上位を目指したが、2スティントともにラップタイムが伸びずに防戦一方となってしまった。LC500 GTにチェンジして1年目のシーズンは、優勝や失格となってしまったが2位で終えたレースがあった一方で、残りの6戦では納得いく結果を残せなかった。チームとドライバーともにマシンのポテンシャルが高いことは分かっているので、オフシーズンには改善策を検討し来季への準備を進めていく。

吉本大樹選手

「決勝レースはスタートを担当し、オープニングラップでは7号車FERRARI 296 GT3をパスできました。その後の数周は前を追うペースがあって手応えがありました。しかし、そのあとに一気にタイヤのグリップが落ちてしまいました。後半のスティントも同じタイヤを装着するため最短でピットに戻ることができず、厳しい状況は承知で24周目まで引っ張りました」

「予選では良いパフォーマンスを示せたので、決勝レースでも期待感があったのですが残念でした。今季から使用しているLC500 GTの戦闘力はGR Supra GTよりも高いと思っているので、年間を通してその性能を引き出すことができず悔しいです。シーズンオフには対策を考えて改善していきます」

河野駿佑選手

「吉本選手から乗り替わりコースに入ったところはクリアで、最初はそれなりのペースで走れていました。前半スティントの状況は確認していたのでタイヤが厳しいのは分かっていて、なるべく労るドライビングをしたつもりです。それでも10周ほどラップするとまわりのマシンに追いつくペースがありませんでした。何とかポイント圏内でゴールしたかったのですが、最後は追い上げてきたマシンを押さえることができず16位でした」

「今季はマシンをチェンジしてもらい、4年ぶりの優勝を挙げることができました。反面、苦手なサーキットではこれまで以上に苦戦しています。原因をしっかりと突き止めて、来シーズンこそはLC500 GTのパフォーマンスを引き出せるようにしたいです」

Syntium LMcorsa LC500 GT
Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑) 2025スーパーGT第8戦もてぎ

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