2025シーズン最終戦、STANLEY CIVIC TYPE R-GTが3位入賞

 11月1日(土)~2日(日)、モビリティリゾートもてぎ(栃木県)で、2025年スーパーGTシリーズ第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』が開催されました。2026年シーズンはGT500クラスのベース車両を新しいプレリュードに替えることを発表しており、シビック・タイプR-GTにとってはこれが最後のスーパーGT出走となります。

出場メンバーは以下のとおりです。
8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 野尻智紀/松下信治
16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 大津弘樹/佐藤蓮
17号車 Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越広大/小出峻
64号車 Modulo CIVIC TYPE R-GT 伊沢拓也/大草りき
100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 山本尚貴/牧野任祐

 前回の第7戦オートポリスで、シビック・タイプR-GTは表彰台を独占する完勝を遂げました。その結果、100号車がドライバーランキングトップの1号車 GR Supraから8.5点差、ランキング2番手の14号車 GR Supraからは2.5点差の52点でランキング3番手に浮上し、シリーズチャンピオン奪取の可能性をもって最終戦に臨みます。

 またこの最終戦では、全マシンサクセスウエイトをすべて降ろして戦います。CIVIC TYPE R-GTは前戦から投入した今季2基目のエンジンで、万全を期してレースウイークを迎えました。

 1日(土)は、前夜から降り続いた雨が上がり天候は回復傾向となりました。公式練習が行われる9時10分頃には、一部にウエットパッチが残るのみで、ほぼドライコンディションに。天候はさらに好転する予報が出ていました。

 14時、公式予選は雲が切れて太陽が照りつける陽気の中で行われました。8号車、16号車、64号車、100号車がQ2セッションに進出。Q2でのタイムアタックの結果、シリーズチャンピオンを狙う100号車が7番手、以下8号車が8番手、16号車が9番手、64号車が10番手、そして17号車は15番手につけました。

 2日(日)の決勝日は晴天、気温20℃、路面温度22℃、全車スリックタイヤを装着してフォーメーションラップが始まり、13時10分すぎに決勝レース(63周)のスタートが切られました。

 最終戦で逆転王座を奪取しようと意気込む100号車のスタートドライバー山本は、オープニングラップで3号車と24号車のZ NISMO2台を次々とオーバーテイクし、5番手に浮上します。山本に課せられた次のミッションは、ピットインまでタイヤをいたわり、燃料消費をセーブしつつ、上位ポジションを維持することです。フルコースイエロー(FCY)を挟みながら5番手をキープし周回を重ね、20周目には23号車 Z NISMOをかわし4番手に浮上します。
 
 21周をすぎ、各マシンがピットに入り始めると、100号車は暫定トップに立ったものの、24周目にピットイン。ここで牧野にドライバー交代し、ピット滞在時間を大幅に削減するタイヤ無交換作戦を敢行してピットアウト。100号車はほかチームより約10秒早いピット作業によって見かけ上5番手、事実上トップの順位でコースへ復帰します。
 
 しかし、その約12秒後ろには1号車 GR Supraがつけていました。タイヤ無交換の100号車とニュータイヤを履く1号車 GR Supraのラップタイム差は大きく、29周目には1号車 GR Supra、そして12号車 Z NISMOのオーバーテイクを許し事実上3番手へ後退。さらに33周目には23号車 Z NISMOにも先行され、4番手ポジションとなったあたりからレースペースが安定すると、そのまま63周を走りきり4位でチェッカーフラッグを受けました。

 しかしレース後、2位の12号車 Z NISMOがテクニカルレギュレーション違反により失格となったため、100号車は繰り上がりで3位入賞となりました。この結果、100号車がシリーズランキング2位で、シビック・タイプR-GT最後のシーズンを締めくくりました。

 そのほか、8号車が6位、16号車が8位に入賞し、17号車は13位、この最終戦をもってGT500クラスから引退する伊沢の駆る64号車は12位でレースを終えました。

伊沢拓也とホンダ・レーシングの渡辺康治社長
伊沢拓也とホンダ・レーシングの渡辺康治代表取締役社長

Masahiro Saiki

「100号車は予選7番手から少しでも上の順位を狙うため、タイヤ無交換作戦を実行しました。結果3位に入り、シリーズランキング2位を獲得することができました。中団にいたほかのシビック・タイプR-GT勢は、ここ数戦起きているトレイン(同程度のペースの車両が連なる)状態に陥ってしまい、本来の性能を出しきることができませんでした。来年は本大会でお披露目したプレリュードにベース車両が替わりますので、速くて強いクルマに仕上げて来年こそチャンピオンを奪還したいと思います。来シーズンも応援よろしくお願いいたします」

Naoki Yamamoto #100
STANLEY TEAM KUNIMITSU

「追い抜きが簡単ではないサーキットなので、スタートが勝負だと考えていました。そして、とにかく1号車の前に出るためにタイヤ無交換を決めましたが、もし前に出られても後半戦はかなり厳しくなるだろうなとも予想していました。悔しいですが、やれることをやりきった1年間だったと思います。シビック・タイプR-GTに2年間乗ってチャンピオンを獲ることはできませんでしたが、ラストイヤーに1勝飾れましたし、HRC開発メンバーの頑張りのおかげで1号車を追いかけることもできました。志半ばではありますが、この勢いをしっかりと次のプレリュードに注ぎ込んで、必ずライバルを倒します」

Tadasuke Makino #100
STANLEY TEAM KUNIMITSU

「どのチームもタイヤ無交換作戦は可能だったと思いますが、その決断を下したのが、僕たちだけでした。どうしても勝ってチャンピオンになりたかったので、ギャンブル要素を含んだ戦略を実行するしかありませんでした。マシンを引き継いだ段階で『これは厳しそうだな』と感じましたが、タイヤに無理をかけないことだけを考えて走りました。勝てなかったし、チャンピオンにもなれなかったことがすべてですね」

Takuya Izawa #64
Modulo Nakajima Racing

「冷え込んだコンディションに合わせるのが難しく、厳しいレースになってしまいました。これでGT500クラスの選手生活は終わりますが、この2日間、ファンの方を含め大勢に声をかけてもらい幸せでした。自分のGT500レース人生をナカジマレーシングで終えられて、本当によかったです。これまでたくさんの応援をありがとうございました」

本日のレースクイーン

水瀬琴音みなせことね
2025年 / スーパー耐久
D'stationフレッシュエンジェルズ
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円