スーパーGT第8戦もてぎ
MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL
坪井/山下組GRスープラが連続チャンピオン獲得!
最終戦を勝利で飾り坪井とチームは史上初の3連覇
スーパーGTの最終戦がモビリティリゾートもてぎで行われ、2番手からスタートした坪井翔/山下健太組 au TOM’S GR Supra 1号車が1周目で首位に立ったあとはその座を譲らず優勝。同チームのGRスープラは史上初の3年連続ドライバーズチャンピオンを獲得しました。
11月1日(土)、2日(日)の両日、2025年シーズンSUPER GT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』が栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されました。
前戦オートポリス大会からわずか2週間。全8大会で戦われている今季のSUPER GTも最終戦を迎えました。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGRスープラ勢は今季これまでの7戦中4勝をあげ、5台がこの最終戦にタイトル獲得の可能性を残しています。
今大会は、サクセスウエイトが全車0kgでの争いとなり、TGR勢は有終の美でシーズンを締めくくる決意とともに今大会に臨みました。3連休中の開催でもあり、好天に恵まれたモビリティリゾートもてぎには、週末を通して5万人のモータースポーツファンが集まり、シーズン最後の熱戦を満喫しました。
◆予選◆
1日(土)14時より、午前中の公式練習序盤ではウェット部分が残っていた路面も晴れて完全に乾き、気温22度、路面温度24度のコンディションのなか、ノックアウト方式の予選が行われました。
Q1は、ランキングで首位につける山下の1号車が2番手をコンマ2秒引き離すトップタイムをマーク。ランキング4位で逆転チャンピオンを狙う石浦宏明のKeePer CERUMO GR Supra 38号車が3番手で続き、Q2進出を決めました。
一方で逆転タイトルを目指すENEOS X PRIME GR Supra 14号車、DENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車、Deloitte TOM’S GR Supra 37号車はQ1敗退となってしまいました。
Q2では大湯都史樹の38号車がトップタイムをマークすると、翌周もタイムを更新してチェッカーを受け、ポールポジションを獲得。坪井の1号車も好タイムをマークしますが、38号車には届かず2番手。今季限りでGT500クラスから卒業を発表している38号車の石浦にとって、ラストレースで記念すべきポールポジション獲得となりました。
GT300クラスは、2グループに分けてQ1を実施しそれぞれ上位9台がQ2へと進出。A組では平良響のHYPER WATER INGING GR86 GT 2号車が6番手、河野駿佑のSyntium LMcorsa LC500 GT 60号車が8番手でQ2進出。B組では、高木真一のK-tunes RC F GT3 96号車が3番手、吉田広樹のGreen Brave GR Supra GT 52号車が5番手、オリバー・ラスムッセンのapr LC500h GT 31号車が8番手でQ2進出を決めました。
Q2では野中誠太がアタックした52号車が3番手グリッドを獲得しました。
◆決勝◆
2日(日)、13時、曇り空、気温22度、路面温度22度のコンディションのなか、63周で争われる決勝レースがスタートしました。
スタートではポールポジションの38号車石浦が首位を守るものの、2番手スタートの1号車坪井も離れず、4コーナーで38号車をパス。1周目にして1号車が首位に立ちました。後方では、13番手スタートの14号車福住仁嶺が1周目に2つポジションを上げると、2周目には10番手に。さらに8周目に39号車もパスして9番手となり、序盤から4ポジションアップしてみせました。
首位に立った坪井の1号車は2番手以下をじりじり引き離していき、11周を終えた時点でその差は約4秒まで広がりました。
22周目を終えたところで、3番手の38号車が先陣を切ってピットイン。石浦から大湯へとドライバー交代を行いました。しかし、コースへ復帰した大湯の38号車は90度コーナーでコースオフ。大きく順位を落としてしまいました。
1号車は翌周ピットインして、坪井から山下へと交代。さらにその翌周、タイトルを争うSTANLEY CIVIC TYPE R-GT 100号車がピットへ向かうと、タイヤ無交換作戦を採択。ピットでのタイムロスを抑えたことで、1号車の前でコースへ復帰しました。
しかし、新しいタイヤに交換した1号車の山下はハイペースで追い上げ、29周目に100号車をパス。事実上の首位へと復帰しました。
後方では、ドライバー交代した39号車のサッシャ・フェネストラズが猛追を開始。11番手から5番手までポジションを上げました。最後までピットインを引っ張った笹原右京の37号車が37周を終えたところでピットイン。これで全車がピットを終え、1号車が首位に復帰しました。
首位を行く山下の1号車は、後続からの追撃を受けながらも懸命にポジションをキープ。一方で、6番手を行く大湯の38号車はペースが上がらず、後続が数珠つなぎで順位を入れ替える激戦に。そのなかで、最後にピットインした37号車のジュリアーノ・アレジが,新しいタイヤの優位性も活かして順位を上げていきました。
1号車の山下は最後まで後続の猛追を凌ぎ切り、トップでチェッカー。1号車は今季3勝目を挙げ、坪井と山下がドライバーチャンピオン、TGR TEAM au TOM’Sがチームチャンピオンを獲得しました。坪井はスーパーGTの最多記録に並ぶ自身4度目、そして史上初となる3年連続のチャンピオン獲得。山下は自身3度目、2年連続のチャンピオン。TGR TEAM au TOM’Sも3連覇を果たすこととなりました。39号車が4位、37号車が5位、38号車が7位でポイントを獲得しました。
GT300クラスでは、3番手グリッドからスタートした野中の52号車が7周目に2番手へと浮上。その後も上位争いを繰り広げ、終盤まで表彰台圏内を守っていましたが、残り2周というところで惜しくもポジションを落とし5位でフィニッシュ。2号車が9位、96号車が13位でポイント獲得を果たしました。
1号車au TOM’S GR Supra ドライバー 坪井翔
「3年連続チャンピオン獲得ということで、うれしいです。実際2位以上でチャンピオン確定の条件で2位スタートだったので、無理して抜かなくてもチャンピオンを獲れる状況でしたが、やはり勝って終わりたいというのがありましたし、予選がちょっと悔しい結果だったので、なんとか抜きたいと思っていました」
「ウォームアップや路温の状況からも1周目しかないと思っていて、そこに全集中して抜くことができ、その後は計算通り、5,6秒くらいギャップを開いて山下選手に渡すことができました。もしかしたら無交換で来る車があるかもしれないと想像していたので、なるべくギャップを開いておきたかったですし、そういう意味でも任務をしっかり果たせた、良いスティントだったと思います」
「後半の山下選手は2、30周ぐらいずっと後ろに付かれていて、ドライバーとしてはかなりきつい状況のなかで守り抜いてくれたので感謝していますし、最後勝って締めくくれて本当にうれしいです。山下選手なら抑えてきてくれると信じて安心して見ていましたが、本人は相当大変だったと思います」
「この1号車で戦えるのは、プレッシャーはありますが有難いですし、そのなかで山下選手とともに結果を出し続けられているのはすごくいい環境です。今年はエンジニアが変わり、大変な年だったと思いますが、しっかり仕事をやってのけてくれたチームの皆に感謝ですし、史上初の3連覇という、チームとして大変な快挙を成し遂げられて、そのなかの一員としていられて良かったなと思います」
1号車au TOM’S GR Supra ドライバー 山下健太
「坪井選手は今回で4回目のチャンピオン、自分が3回目で、チームは3連覇という、これだけ接戦なGT500のなかでちょっと抜けたような結果を出し続けているチームに、自分が所属させてもらっていることにまず感謝したいです」
「今日は坪井選手がトップで渡してくれたので、トップを守らなきゃいけないなとは思っていましたが、選んだタイヤやベース的に厳しくなるかもしれないなという予想が当たってしまいました。選んでいるタイヤは皆似たようなものだと考えていましたが、日産勢が想像以上に速くて、2台に30周近くずっと真後ろを走られる展開になってしまいました。状況的には別に2台を先に行かせてもチャンピオンになれるというのは分かってはいたのですが、最終戦を抜かれて終わりたくないと頑張って走りました。疲れましたが、勝てて良かったです」
「今年も完璧なシーズンではなかったんですが、でも全員が常に100%以上のパフォーマンスを出しているという印象があります。苦しい時もミスも最小限にしてきたと思うし、できる限りのことをしてきたと思っているので、本当に全員の力で取ったチャンピオンだなと改めて思いました」

