2025 AUTOBACS SUPER GT Round8
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
11月1日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:18,000人
11月2日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:32,000人
入賞を逃し、今季の集大成とはならず。来シーズンへの再起を誓う
2025年シーズンの最終戦となる第8戦もてぎ。ストップ&ゴーサーキットのレイアウトはブレーキとトラクション性能が試され、なかでもリヤのトラクション性能が高いMR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)やRR(リヤエンジン・リヤドライブ)車両が得意としているサーキットだ。
それはつまり、#31 apr LC500h GTのようなFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両にとっては不利な条件と言える。近年のGTA-GT300車両はBoP(性能調整)によって重量が増し、今シーズンはフロントタイヤが小径化され、ブレーキ性能においてマイナス要素となってしまっている。
それでも、唯一のハイブリッドシステムを搭載する31号車にとっては、ブレーキングでの回生、モーターアシストによる加速を活用できるサーキット。そこに活路を見いだし、上位入賞を目指す一戦となる。
公式練習/20位 11月1日(土)9:10〜11:10
曇り空での公式練習開始時の気温は17℃、路面温度は21℃。しかし、前夜の大雨の影響により路面にはウエットパッチが残り、開始前の8時45分にWET宣言が出されてのスタートとなった。
31号車は小山美姫がステアリングを握り、アウトラップから計測1周してピットへ。ハイブリッドシステムの確認作業をしながら、コースコンディションが良くなるのを待つ。およそ15分後に再び小山がコースインし、8周目に1分48秒487を記録する。
11周でピットに戻った小山からは「ブレーキに違和感」というコメントがあり、パッドとディスクを交換。小山が数周走って確認し、17周目からオリバー・ラスムッセンが走行を引き継いだ。
この時点でセットアップのバランスが良いのは確認済み。タイヤをそのまま使い続けたこともありタイム更新はなく、20位となった。リザルトとしては良い順位ではなかったが、今回持ち込んだタイヤは硬めであり、一発のピークグリップは高くないのが理由。一方でロングランでの安定感に手応えを感じ、公式練習を終えた。
公式予選 11月1日(土)
Q1 B/8位14:18〜14:28
Q2/15位14:53〜15:03
公式予選はGT300クラスのQ1 A組からスタート。開始時のコンディションは気温22℃、路面温度24℃だった。31号車はQ1 B組に出走する。Q1担当はラスムッセン。アウトラップからウォームラップ2周を入れて、計測4周目からアタックを開始する。4周目のタイムは1分47秒432で、この時点では6番手。翌周には1分47秒339にタイムアップしたが、ライバルがさらにタイムを更新。結果はB組8番手に下がってしまったが、Q2進出を果たした。
Q2は小山が担当。アウトラップから2周のウォームラップを経て計測4周目に1回目のアタック。タイムは1分47秒293。小山は翌周もプッシュし、セクター1とセクター2で自己ベストを更新する。しかし、セクター3とセクター4でわずかにタイムを落としてしまった。ラップタイムは1分46秒866にアップしたが、結果は15位。シングルグリッド獲得まで、わずか0.255秒という僅差の予選だった。
オリバー・ラスムッセン選手
「乗り始めからクルマのバランスは悪くなかったけど、基本的にグリップレベルが低い状況でした。想定していた以上に路面温度が低かったですね。予選でもフロントタイヤのグリップが足りない状況で8位。本当は6位くらいに入りたかったけど、今シーズン好調なクルマがノーウエイトになって速かった。難しいシチュエーションだったけどQ1を突破できて良かった」
小山美姫選手
「公式練習ではブレーキに違和感があって、アタックという感じにはなりませんでした。タイヤも温度レンジ的に発動していない状況でしたね。予選では公式練習のときよりクルマも良かったし、タイヤもちゃんと発動していたのですが、2周のアタックでどちらに合わせるかという部分でまとめきることができませんでした。ウォームアップからアタックをまとめていれば0.3秒は上がったと思うし、もうちょっと経験を積んでもっと質を上げていければ、0.5秒アップも見えたのかなと思います」
根本悠生選手
「走り出しで持ち込んだタイヤが、そのときのコンディションからちょっと外れていた感じでした。それでもセットアップを調整していって、予選はQ1突破。Q2に向けてもアジャストして、そこは成功したと思います。Q2は2番手以降かなりの接戦で、小山選手も言っているように、シングルグリッドまでは『もうちょっと』だったと思います」
金曽裕人監督
「今回、タイヤは無交換も見据えて硬めのタイヤを持ち込みました。クルマのバランスは良かったのですが、想定外の寒さに一発のピークグリップは足りていませんでしたね。Q2の小山選手は、まとめきれていたら7〜8番手も狙えたと思うくらい接戦でした。ロングランでタイヤが良いのは確認済みだし、15番手からのスタートでも決勝は追い上げられる自信があるので問題ないです!」
決勝レース(59周)/18位 11月2日(日)13:07〜14:58
13時00分、栃木県警察車両によるパレードラップで始まり、セーフティカー先導のフォーメーションラップを経て2025年シーズンの最終レースがスタートした。気温は20℃、路面温度は22℃のドライコンディションだ。
スタートドライバーは小山。1〜2コーナーはポジションをキープして駆け抜けるが、3コーナーでイン側に並んでいた他車に少し押し出され、ポジションを4つ落とし19番手となってしまう。それでも小山は冷静だった。
6周目にはGT300車両のコースアウトを起因とするFCY(フルコースイエロー)の導入もあったが、タイヤをしっかりと温めていく。気温と路面温度が低く、タイヤのピークグリップまで発動させることはできなかったが、安定したラップを刻み続ける。タイヤ無交換作戦を成功させるためにタイヤをマネジメントしつつ、徐々に前車を攻略していった。
ピットタイミングの違いもあるが、小山はスタートポジションを上まわる13番手を走行中の21周目にピットイン。チームは給油のみを済ませ、ラスムッセンをコースに送り出した。
ラスムッセンは22番手でコースに復帰。上位勢はこれからのピットであり、タイヤ無交換作戦によってトップからは4秒差まで詰めた計算になる。順位としては5〜6番手の位置だ。しかし、ラスムッセンのタイムが上がらず、小山のスティントからは1秒落ちの1分52秒台での周回が続いてしまった。39周目には入賞圏内の15番手を走るが、その後もラップタイムは落ちていき最終的には18位でフィニッシュとなった。
31号車として、今シーズンの入賞は第3戦マレーシアの12位のみという結果に。昨シーズンはドライバーズ&チームともにランキング6位だったが、今シーズンはドライバーズランキングが29位、チームランキングは23位に落ちてしまった。悔しい1年となってしまったが、来シーズンはパッケージを仕切り直して再起を誓う。
オリバー・ラスムッセン選手
「僕が担当した第2スティントでは、走り出しからちょっとグリップが不足していました。たぶん、気温も下がってタイヤの温度レンジが外れていったんだと思います。ガソリンを満タンにして重量が増した影響もあったと思う。レース終盤にはタイヤのデグラデーションもあって、上位で戦うことができませんでした」
小山美姫選手
「スタート自体は悪くなかったのですが、3コーナーで押し出されてポジションを落としてしまいました。タイヤは温度レンジが適性ではなく少しグリップが低い状況が続いてしまいましたが安定してたので、周囲のライバルのタイヤがタレてきたところで抜いていくことができました。無交換に向けてタイヤをマネジメントしたうえでラップタイムも安定していたし、スタート時よりもポジションを上げてバトンを渡せたので、そこは良かったと思います」
「結果としてはシーズンを通して満足できるものではありませんでしたが、初めてのブリヂストンタイヤで学びになったことは多く、タイヤのウォームアップに関しては集大成となるような一戦だったと思います。でも、まだまだ足りないところはあります。それが何なのか明確になったので、来年に繋げたいと思います」
根本悠生選手
「クルマのパフォーマンスとしては、シングルポジションでフィニッシュできる実力があったと思うし、それを見せられなかったのは悔しいですね。LC500hは3年目で、今年は速さと強さを見せられると思っていましたが、アップダウンが結構あるシーズンになってしまい、ドライバーが本来のポテンシャルを引き出すことができませんでした。そこは重く受け止め、強くなりたいと思います」
金曽裕人監督
「ラスムッセン選手と小山選手は、今年が初めてのGT300クラスへのフル参戦となり、ドライバーの経験不足が随所に出てしまった1年でした。31号車の今シーズンを表すなら『ドライバーに始まりドライバーに終わる』ですね。それでも、ドライバーの成長は感じています」
「特に小山選手は終盤戦からタイヤの使い方、レースの戦い方が分かってきた姿を見せてくれました。ここからの伸び代を小山選手自身も見えていると思うので、さらなる成長に期待できそうですね。来年はドライバーラインナップを変えて、クルマもアップデートして、速くて強い31号車をみなさんに見せられるようにします! 今年は、皆様、すみません!!!」

